症例紹介

外科手術の症例の一部を順次紹介させて頂きます。
手術の写真がありますので苦手な方はご遠慮ください。
整形外科
>橈尺骨骨折 >大腿骨遠位成長板骨折 >下顎骨複雑骨折 >中足骨骨折 >大腿骨骨折 >椎体骨折
>膝蓋骨内方脱臼(パテラ) >前十字靭帯断裂 >股関節脱臼
軟部外科
>副腎腫瘍 >肺腫瘍切除 >心膜切除 >胆嚢摘出 >食道穿孔(肋間開胸) >タイバック(披裂軟骨側方化術)
>尿管膀胱吻合(尿管結石) >SUBシステム >尿管切開(尿管結石) >会陰尿道造瘻術 >口蓋裂整復
>心膜横隔膜ヘルニア(胸骨正中切開併用) >横隔膜ヘルニア >会陰ヘルニア
>短頭種気道症候群(軟口蓋切除、尾翼切除) >異物誤食(胃腸切開、内視鏡下摘出) >脾臓腫瘤
>断脚(前肢、後肢) >乳腺腫瘍切除 >膀胱結石 >脱肛
眼科外科
>チェリーアイ >急性水疱性角膜症(眼瞼フラップ) >眼球突出 >眼瞼腫瘤切除
その他
>鼻腔生検 >骨髄穿刺 >消化管内視鏡下生検
橈尺骨骨折
自宅で落としてしまってから、前肢を挙上していると来院されました。
レントゲンで右前肢の「橈尺骨遠位部での骨折」が認められたため、飼い主さまと相談したうえで手術することになりました。
橈尺骨骨折は小型犬で好発の部位ですが、今回の症例は小型のトイプードルで、骨幅が4.7mmとかなり細いため比較的難易度が高い手術となりました。
手術は骨折線を整復し、T字型のプレートを用いて固定しました。
術後の経過は良好で、骨癒合が認められた時点でプレートの抜去を行い、問題なく歩行できるようになりました。
橈尺骨遠位部骨折



②手術直後
手術所見
①手術前

③手術後(脱プレート前)

④脱プレート後
その他の橈尺骨骨折の症例も一部紹介いたします。
橈尺骨骨幹部骨折

①手術前

手術所見

手術所見

②手術直後

③手術後(脱プレート前)

④脱プレート後
橈尺骨遠位部骨折

①手術前

②手術直後

③脱ピン後
大腿骨遠位成長板骨折(Salter-HarrisⅡ型)
自宅で落としてしまってから、後肢を挙上していると来院されました。
レントゲンで右後肢の「大腿骨遠位部での骨折」が認められたため、飼い主さまと相談したうえで手術することになりました。
本症例はまだ6ヶ月齢のため、骨に成長板が残存しております。
成長板は骨が成長するため重要な組織で、傷害されると骨の成長が止まってしまうため、手術により損傷しないようインプラントを選択する必要があります。
手術は骨折線を整復し、髄内ピンをクロスピンとして固定しました。
3ヶ月後にピンの抜去を行い、術後の経過も良好です。
大腿骨遠位成長板骨折

①手術前

②手術後

②手術後

③脱ピン後
下顎骨骨折(下顎枝複雑骨折、犬歯尾側斜骨折、下顎結合骨折)
飼い猫が外に逃げてしまい、その後外傷を受傷した状況で保護されました。(オーナーさんも無事にすぐ見つかりました。)
顔面に強い外傷があり眼内出血や口蓋裂、下顎骨折が認められました。
今回の骨折はレントゲンで詳細な状況は把握しづらいですが、下顎枝複雑骨折(下顎の根元の骨折)と犬歯尾側斜骨折(犬歯の後ろの骨折)、下顎結合骨折(下顎の真ん中の骨折)が認められました。
本症例は下顎骨骨折整復の手術の際に、口蓋裂の整復も同時に行いました。
手術はそれぞれの骨折線を整復し、サークラージワイヤーで固定しました。
術後は咀嚼が可能になり、4ヵ月後にも骨折線のずれは無く、骨の癒合も認められ経過良好です。
下顎骨折(下顎枝複雑骨折、犬歯尾側斜骨折、下顎結合骨折)

①手術前(下顎枝複雑骨折)

①手術前(犬歯尾側斜骨折)

②手術後

②手術後

手術所見(犬歯尾側斜骨折)

手術所見(犬歯尾側斜骨折、下顎結合整復後)

手術所見(下顎枝複雑骨折整復後)
中足骨骨折
散歩中から急にびっこを引くと来院されました。
レントゲンでは、左後肢の第3、4、5中足骨の短斜骨折が認められました。
足を支えるためには、体重を支えるための負重骨である第3か第4中足骨のどちらかが必要になります。
本症例では第3、4負重骨の両方とも骨折が認められたため、手術を行うことになりました。
手術はそれぞれの骨折線を整復し、髄内ピンで固定しました。
術後は通常通り圧迫包帯で固定し、骨の癒合が認められた時点で脱ピンを行い、その後も経過良好です。
中足骨骨折

①手術前

②手術後

③脱ピン後
その他の中足骨骨折の症例も一部紹介いたします。
中足骨骨折
①手術前


③手術所見(髄内ピン挿入時)

②手術後

③手術所見(術前)

③手術所見(髄内ピン挿入後)

③手術所見(髄内ピンカット後)
大腿骨骨折
帰宅後ケージ内にお留守番をしていた犬が後肢をびっこを引いていると来院されました。
レントゲンでは大腿骨の斜骨折が認められました。
本症例は、ロッキングプレートとサークラージワイヤーで固定しました。
術後の歩様は問題なく経過良好です。
大腿骨骨折

①手術前

②手術後
椎体骨折
外猫でお世話していた子が、数日前から急に歩けなくなったと来院されました。
来院時は後肢の重度不全麻痺により起立困難でした。
レントゲンでは第6腰椎(椎体奇形あり)の骨折が認められました。
骨折片が脊髄を重度に圧迫し、その影響で歩様困難や排尿障害、排便障害が引き起こされておりました。
骨盤骨折や椎体骨折などは、受傷後時間が経過すると骨折片の整復が困難になるため、受傷後2~3日以内の手術が推奨されており、遅くとも1週間以内の手術が必要になります。
今回の症例は外猫のためいつ受傷したか正確に分かりませんが、手術時は1週間以上経過している状況でした。
手術は骨折の整復と脊髄の減圧が目標となります。
骨折の整復は、第4腰椎以降では神経根の切除が望ましくないので、プレートでの固定は困難なため、ステインマンピンと骨セメントでの整復を計画しました。
本症例では椎体周囲の筋肉を剥離し、ステインマンピンを設置後骨折線の整復を試みましたが、受傷後時間経過している影響で整復は困難でした。
そのため背側椎弓切除により、脊髄の減圧のみを実施しました。
術後は不全麻痺は残りましたが、起立困難な状態から歩行可能な状態まで改善しました。
椎体骨折

①手術前

②手術所見(椎体アプローチ)

②手術所見(背側椎弓切除)
膝蓋骨脱臼
6ヶ月齢のトイプードルで、以前から膝蓋骨内方脱臼による跛行を間欠的に認めておりました。
若齢での膝蓋骨脱臼は膝蓋骨脱臼の重症度が急激に進むこともあるので注意が必要です。
本症例は、避妊手術の際に左後肢の膝蓋骨内方脱臼(GⅢ)の整復を同時に行うことになりました。
手術は滑車溝造溝や関節包縫縮、脛骨内旋制御、内側広筋リリースなど様々な手技を組み合わせて行いました。
術後は早期から着肢可能となり、再発もなく経過良好です。
本症例は両後肢とも膝蓋骨脱臼が認められていたため、術後1ヶ月で右後肢の膝蓋骨脱臼整復も行いました。
膝蓋骨脱臼(GⅢ)
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①手術前

①手術所見(滑車溝が浅い)
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②手術後(左後肢術後)
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③手術後(右後肢術後)

②手術所見(滑車溝造溝)

③手術所見(滑車溝造溝)

④手術所見(滑車溝造溝後)

⑤手術所見(内側広筋リリース)