眼科
白内障
人と同様に動物でも白内障を発症します。
白内障は、眼の中のレンズである水晶体が白く濁った状態を言います。
原因として、先天性や遺伝性、代謝性、外傷性などがあります。
症状
初期の段階だと、症状がなく、見た目でも分からないことが多いです。
進行すると、眼が白っぽく見えたり、視覚障害により物にぶつかるといった症状も認められます。
診断
スリットランプを用いて、水晶体の混濁を確認します。
進行度に応じて、未熟、初発、成熟、過熟白内障に分類されます。
水晶体起因性ブドウ膜炎(LIU)を併発することも多いので、必要に応じて眼圧等も確認します。
白内障の原因となる基礎疾患の精査のため、全身の検査も考慮されます。
成熟白内障
治療
白内障の原因に応じて、基礎疾患があればその治療を行います。
基本的には白内障の進行を抑制することは困難ですが、一般的には初期の段階から点眼薬を用いることが多いです。
重要なのは、白内障が進行した際に併発する、水晶体起因性ブドウ膜炎や緑内障などを、治療していくことです。
放置すると眼の痛みを感じたり、白内障の進行が早くなる可能性があります。
人工眼内レンズ挿入術の外科手術を希望される場合は、眼科専門医に紹介させていただきますのでご安心ください。
網膜剥離に進行した症例での、強膜内インプラント挿入術は当院でも実施しておりますので、ご相談ください。
進行性網膜萎縮
進行性に網膜が変性し失明に至る疾患です。
症状
初期は夜間の視力低下から始まります。
徐々に昼間も視力が落ちてきて、採取的には失明に至ります。
診断
倒像鏡で網膜を観察しますが、早期には特徴的な所見が出現しないので、主に他疾患の除外を行います。
正確な診断は、網膜電図検査により行いますが、麻酔が必要なため必須ではありません。
進行性網膜萎縮症から、二次的に白内障を発症することもあるので、注意が必要です。
進行すると網膜血管の狭細化や、タペタム領域の反射異常が観察されます。
眼底像(網膜)
治療
治療方法は現時点ではなく、緩和を期待してサプリメントが投与されることが多いです。
二次的に白内障を発症することもあるので、併発疾患の治療を行う必要はあります。
乾性角結膜炎
人でいうドライアイです。
涙膜の欠乏により様々な症状を引き起こします。
症状
粘性のある目やにが出たり、角膜の色素沈着が見られることが多いです。
乾性角結膜炎では粘性の目やにや、角膜の色素沈着が認められることも多いです。
重度乾性角結膜炎
診断
シルマーティアテストにより、涙液量を測定することで診断します。
乾性角結膜炎の原因となる基礎疾患も精査します。
犬では免疫介在性のことが多いです。
シルマーティアテストにより、涙液量の測定を行います。
シルマーティアテスト
治療
免疫介在性のことが多いので、免疫抑制剤の含まれた眼軟膏を塗布します。
乾燥を抑えるために涙液に近い点眼薬や、軟膏も併用します。
症状が重度な子は、色素沈着により視界がかなり狭まってしまうこともありますので、早期から治療を継続することが大事です。
基本的には完治できる疾患ではなく、生涯付き合っていくことが多いので、しっかり相談したうえで治療していきましょう。