眼科外科
眼科外科
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一部術中・術後の写真がありますので苦手な方はご遠慮ください。
角膜潰瘍
目の表面の角膜に傷がついた状態です。
原因
外傷や異所性睫毛、難治性角膜潰瘍(SCCEDs)など多くの原因でなりますが、外傷によることが多いです。
症状
犬・猫ともに痛みにより目をしばしばすることが多いです。
潰瘍が深く穿孔すると、眼房水が漏出することもあります。
診断
フルオレセイン染色により、潰瘍部分を染色し確認します。
その他、スリットランプでも角結膜等を精査します。
潰瘍部分が染色されています。
フルオレセイン染色
治療
潰瘍が浅ければ、多くは点眼治療のみで改善します。
一般的な点眼治療で改善の見られない場合は、血清点眼という、自己の血液を利用した点眼方法もあります。
潰瘍が深い場合や、難治性角膜潰瘍(SCCEDs)が疑われる場合は、点眼のみでの治療だと改善が難しいので眼瞼縫合を行います。
眼瞼縫合は一時的に瞼を縫合して目を閉じる処置なります。人でいう眼帯をしているイメージになります。
難治性角膜潰瘍(SCCEDs)の場合には、不良な角膜を除去し格子状切開も同時に行います。
麻酔をかけるのが困難な症例では、無麻酔で動物用コンタクトレンズで対応することもあります。
潰瘍が深い場合や穿孔してる場合は、結膜転移術を行うこともあります。
外傷による角膜潰瘍。
手術前
手術後
抜糸後
動物でのコンタクトレンズは視力矯正ではなく、主に角膜保護・治療のために用いられます。
麻酔が困難な症例や、手術と併用して使用します。
動物用コンタクトレンズ
眼球摘出術
適応
腫瘍でなければ基本的には内科的な治療でのコントロールを目指しますが、内科的な治療では限界の場合は手術を考慮します。
適応は、眼球内腫瘍や、視覚消失した緑内障で痛みのコントロールの難しい場合、牛眼(眼球の突出した眼)などが適応となる。
治療
腫瘍摘出や動物の痛みの緩和等のために手術を行います。
手術手技は、眼球と周辺組織を切除します。
術後の美容的な面を考慮してシリコンボールの挿入も行っています。
片側のみの眼球摘出であれば、日常生活は問題なく送れるのでご安心ください。
手術前
手術直後
手術後
抜糸後毛が生えると見た目は痛々しくはなくなります。
手術により痛みを改善でき、自宅での点眼等の処置も必要なくなります。
手術後
緑内障(強膜内シリコンインプラント挿入術・義眼挿入術)
緑内障は眼球内の眼房水が増加し、眼圧が上昇している状態です。
義眼の挿入は視覚消失した緑内障に対して、痛みから解放するために実施することが多いです。
主に緑内障に対しての適応について説明します。
症状
緑内障になるとかなり強い痛みを伴うため、元気や食欲の低下が見られます。
眼がいつもより腫れていたり、白っぽく見えることもあります。
猫ではまれで、犬での発生が多いです。
右眼が緑内障に罹患しています。
眼圧の上昇により、角膜の浮腫も起きています。
緑内障は眼の中に水がパンパンに溜まっているイメージです。
緑内障
診断
眼圧測定を行い、眼圧上昇があれば緑内障が疑われます。当院には眼圧計を導入しております。
その他、スリットランプやエコー検査により疾患の鑑別を行います。
治療
治療は視覚の有無が重要となります。
視覚の残っている症例では、治療の目標は視覚の維持になります。基本的には点眼治療により眼圧を低下させます。
来院時に視覚消失していることが多いですが、点眼治療などで視覚が回復することもあります。
この時点での手術はまだ一般的ではないですが、前房シャント術や毛様体凝固術になります。
希望があれば眼科専門医に紹介いたします。
視覚の回復が難しい症例では、治療の目標は痛みの緩和や眼球の維持が目標となります。
この場合にも基本的には点眼治療により眼圧を低下させます。しかし点眼治療では眼圧のコントロールに限界があり、牛眼(眼球が突出した状態)や眼球瘻(眼球の萎縮)に進行することも多々あります。
この時点で手術をする場合に一般的に行われるのが、強膜内シリコンインプラント挿入術(義眼挿入術)になります。
この手術のメリットとしては緑内障からの痛みの緩和や、術後落ち着けば点眼治療が必要なくなります。
手術手技は、眼球内容物を除去しシリコンボールを挿入します。
この手術は緑内障が進行し、角膜が障害されていると適応できなくなるので注意が必要です。
緑内障の治療は多岐にわたるので、飼い主さまとしっかり相談し、納得した治療を行えたらと思います。
シリコンボール挿入中
手術後
抜糸直後
術後3週間後