神経科
てんかん
症状
「全般性発作」だと意識を消失し全身の痙攣が起きます。
「焦点性発作」だと身体の一部に発作が起きます。
診断
代謝性疾患や、心臓からの失神でも同じような症状が起きるので、全身を精査する必要があります。
MRIにより腫瘍や脳炎が疑われる場合は、「構造的てんかん」と診断されます。
MRIで異常がなく脳波の異常のみであれば、「特発性てんかん」と診断されます。
診断にはMRIは必要ですが、動物の場合は全身麻酔下で行います。
臨床症状から特発性てんかんが疑われる場合は、MRIをせずに仮診断することもあります。
治療
「特発性てんかん」の場合には、抗てんかん薬により治療します。
「構造的てんかん」の場合には、抗てんかん薬と合わせて、脳炎などの治療も行います。
てんかんは治療せずに放置されると、痙攣が継続して起きる重責といった状態に進行し、命の危険があります。
逆に、治療によりてんかんがコントロールできれば、健康なこと同じくらい生きることが出来ます。
水頭症
水頭症は、脳脊髄液が脳室内に過剰に貯留した状態です。
簡単に言うと、普段脳はプールの中に脳は浮かんでいることで保護されています。ただ、その水が過剰に増えると脳を圧迫し神経症状を引き起こします。
ここでは水頭症の原因で一番多い、「先天性」について説明します。
症状
斜視や行動異常、てんかんが見られます。
診断
エコー検査により、脳室ー大脳比(VB ratio)を計測します。
より詳しく精査するためにはMRI検査が必要です。
チワワやポメラニアンで先天的に罹患していることが多いです。
脳室-大脳比(VB-ratio)
治療
過剰な脳脊髄液が脳を圧迫しているので、それを引かせるために脳圧降下薬の投与を行います。
軽度の水頭症であればこれのみでコントロールできる可能性があります。
根本的な治療は手術ですが、合併症などの面からまだ一般的ではないです。
変形性関節症(骨関節炎)
人でもよく聞く、いわゆる関節炎です。
高齢の動物で頻発しますが、飼い主さまの気付かないうちに進行していることが多いです。
症状
分かりやすい症状であれば、びっこを引いたり痛みがあります。
分かりづらい症状だと、活動性が低下し寝てることが多くなった、高いところに上らなくなったなどがあります。
診断
レントゲン検査では、進行すると関節の腫脹や骨棘、軟骨下骨の効果などが確認されます。
12歳以上の猫では90%が骨関節炎を発症していると報告されています。
正常
膝関節周囲に重度の骨関節炎が認められます。骨棘などにより正常な関節に比べて全体的に不整です。
骨関節炎
治療
進行すると痛みや歩行障害が出る可能性がありますので、進行を抑制する必要があります。
進行を少しでも抑制するためには、多角的な治療が必要です。
「疼痛管理」や、「滑膜炎の解消・軟骨保護」、「運動管理」、「栄養学的管理」があります。
少しでも痛みを軽減し、日常生活の負担を減らせればと思います。